遠野薫の家族は崩壊しつつある。兄弟が亡くなり、両親が離婚した後、彼は家で平穏を見つけられない。父親との激しい口論の後、薫は家を出て、奇妙なトンネルを発見し、それに引き込まれる。中で目撃したものに混乱しながらも、彼は出口へ急ぎ、途中で失ったペットと全く同じ鳥を拾う。
外に出ると、薫は中で数分しか過ごしていないのに、一週間が経っていたことに気付く。奇妙な体験は「浦島トンネル」の伝説を思い出させる――命と引き換えに願いを叶える通路。復活した鳥を手に、薫はもう一度訪れれば壊れた世界を修復できるのではないかと考える。
しかし、トンネル入口に戻った薫は、新入生の花城杏子が彼についてきていることに気付く。杏子は噂を知っており、実験の手助けを求める――彼女もまたトンネルだけが叶える願いを抱えている。