ささやかれるところでは、若い乙女が白い妖精と契約すれば、その心の抱くどんな願望も叶うと言われている。代わりに彼女は魔術師となり、脅威のある魔女を討つために命を懸けなければならない。
宝崎町出身の優しい中学生、田巻いろはは、その物語を実証する。呪文で動かすクロスボウと傷を癒す力を備え、彼女は魔女が潜む迷宮を追いかけ、人々に害を及ぼす前にそれらを倒す。しかし、いろはは自分の願いについて何も覚えておらず、白い妖精そのものである九葉さえも彼女が何を求めたのか知らないようだ。彼女の心は星空の夜の忘れ去られた映像をちらつかせるが、明晰さは逃げている。
ある晩、いろはは「魔術師が救われる」都市が存在すると噂を耳にし、夕暮れの列車に乗って神浜市へ向かう。夜の冷たさが頬を撫でる。車内は霧に包まれた線路を揺れながら、遠くの鐘が響き渡り、希望と危険を同時に約束する。
彼女はすぐに、そこでの魔女がいつもよりずっと強いことを知る。ベテラン魔術師、八千代七海が彼女を守らざるを得なくなった後、いろはは二度と戻らないと誓う。しかし、小さな九葉が現れ遠い記憶を呼び覚ますと、彼女は再び危険な都市を調査したいという衝動に駆られる。