悪名高い吉原の赤線街は、新たな脅威――「愛善香」と呼ばれるお香に取り憑かれた。この芳香粉は、嗅いだ者を瞬時に最初に出会う顔に恋に落ちさせる力がある。 その圧倒的な効能から禁じられた薬は、吉原の路地裏から消えたとされていたが、今やその境内で再び姿を現し、街全体を支配している。
酔いしれた者の中に、弥花隊の無表情な船長・月代がいる。 香りを吸い込んだ瞬間に彼女が最初に目にした人物は、恐れ知らずの横流者団長・坂田銀時だった。 他人は気づかないまま、月代はすでに坂田に想いを抱いていた。 お香によってその感情が増幅され、彼女は新たな弱点と闘いながら横流者団と手を結び、平穏を取り戻す必要がある。