銀河帝国のローヘングラム侯爵がアスタルテで自由惑星同盟のヤン・ウェンリと対峙する四か月前、彼はまだリヒャルト・フォン・ミュゼルにすぎなかった。帝国史上最年少の提督であったリヒャルトは、カイザー側室の兄弟と見なす同僚たちから軽蔑され、脇に追いやられていた。
彼が遠征隊とともにイッサーローン砦に到着した時、野心的で狡猾な艦隊提督グレゴール・フォン・ムッケンベルガーから即座に指令を受けた。そこは近隣の星域で同盟艦隊を攔截するというものだった。リヒャルトはこれが彼を殺すための潜伏した罠だと感じていたものの、疲弊した乗組員にレグニツァのガス巨星大気上で敵と衝突するよう命じた。彼に知られざることに、これはエル・ファシールの英雄との歴史的な出会いの最初であり、彼の伝説は星間戦争の年代記にわたって星系を越えて響くことになるだろう。