父の突然の死を受けて、11歳の宮浦桃は母とともに東京を離れ、瀬戸内海の隠れた島へ向かう。彼女が唯一手にしている宝物は「Dear Momo」とだけ書かれた未完成のメモで、そこに残る痛みが彼女を支える。欠けた言葉は心の中でこだまし、島の隅々を悩ませる。見知らぬ村で桃は風化した木造の家々や静かな畑、謎めいた孤立した神社に慣れることをためらう。ある午後、新しい住まいの屋根裏で探し回っていると、妖怪に関する破れた巻物を見つける。彼女はまるで目が見守っているかのように寒気を感じる。この発見以降、奇妙な出来事が町中に広がり、三匹のいたずら好きな妖怪が彼女を迎えに来る。「桃への手紙」は風と波の囁きの中で新しい生活に馴染もうとする少女の苦闘を描き、レジリエンスを学び父親の手紙の謎を受け入れる物語である。