祖父の死後、名高い三味線の天才・沢村松五郎に続き、沢村節は静かな故郷を離れた。死にゆく祖父の最後の言葉で、松五郎は「他人を真似るだけではなく、自分自身の声を作り出さなければ三味線は捨てるべきだ」と警告した。心を痛めた節は、個人的なスタイルのインスピレーションを求めて東京へ向かったが、都会の絶え間ない騒音に圧倒されてしまった。
息子を心配した節の裕福で繁栄する母、梅子は再び彼の人生に戻り、上目野学院への入学を強制した。そこで彼は津軽三味線に魅了され、祖母がかつて聞いた曲を演奏したいと熱望する学生・前田朱里に出会う。朱里は三味線愛好クラブを設立し、節にそのメンバーの指導を頼む。彼がグループに没頭する中で、節は三味線への情熱を再燃させ、長らく欠けていた独自の音色を見つけることができるだろうか?